HRK blog

吃音症に関することや、ゲーム関連情報を発信していきます!

吃音症を語る前にpart2

こんにちは。HRKです!

 

前回の記事では、超大雑把に発話に関する情報を書きましたが、今回はその続きです。

 

では、いってみましょう!・・・の前に。

 

これからは、研究者たちの吃音に関する見解をまとめていくのですが、注意しておいてほしいことがあります。

 

吃音研究に限らず、何の研究にしてもそうですが

研究者が述べていることが必ずしも正解というわけではないということです。

どちらかというと、「研究者が研究して、何かを発見して、その発見を、【研究者の中で、これを正解と仮定して】次のステップに移る」というイメージです。

 ですので、発見したことが他の研究者によっては違う見解になることもあるし、これが正解と言われてきたことが実は間違っていたなんてこともあります。

 研究結果が認められていけば、それが社会全体の正解になっていくし、社会の役にたっていく、あわよくば、ノーベル賞!ってことです。

 2020年から2021年にかけては、コロナウイルス(COVID-19)に関する研究も多くされていますが、研究者たちの間違った見解が社会に浸透する、なんてことも多いようですしね。

 

ということですので、前置きが長くなりましたが、常に情報を疑う目線で物事を見ていくと良いかと思います!

 

さて、本編行きましょう!

 

 

発語のメカニズム

優位半球と劣位半球

 前回脳の領域について少し話しました。主に4つの部位に分けたんですが、脳にはもっと分け方があります。

 

その一つが「右半球」と「左半球」です。

文字通り脳を真ん中に線を引いて右側と左側に分けるんですね。そしてこの分け方は結構重要なんです。

具体的には・・・

 

右半球は体の左側を支配し、左半球は体の右側を支配する

 運動する時も、冷たいとか痛いとかいう感覚を感じる時も、左半身は右半球がコントロールしています(逆も然り)。だから、右利きの人は左脳が発達しているとか言いますよね。右手ばかり使うので、左半球に刺激が多いためより発達しているのでしょう。

 

・優位半球は主に言語中枢があり、主に左半球である

 今回重要なのはこれです。言葉を話すときには、主に優位半球が活動するんです。前回お話しした、Broca野とかWelcke野なんかも優位半球にしかありません。

じゃあ劣位半球は何の役割があるの?ってことですが、空間認知の役割があるとよく言われています。

だから、仮に脳に傷を負った場合、どちらの半球に負ったかによって症状が違うんですね。

 

よく言われるのは、右利きの人は優位半球は左半球であることが多いということでしょうか。じゃあ左利きの人は優位半球は右半球なんですか?っていうと、そういうことでもないらしいですが。

とりあえず!言語中枢は優位半球にある(大体左半球)ってことを覚えておくとよいと思います。

 

言語処理あれこれ

発語もしくは発語しなくても、言葉の意味を考えたり心の中で話したり、という時にはある決まった脳部位が活動しています。

 

具体的にいきましょう。以下にまとめます。

1)発語をしない場合、構音可能な音韻表現の生成には左前頭葉下部が中心に活動します。言葉の意味を考えるようになると、さらに活動の領域は広がります。

 

 さあ、まとめただけでは意味が分からないと思うので、解説しましょう。

構音ー要は発音のことです。構音障害というものがありますが、これは例えば「リンゴ」のことを「インコ」と言ってしまうように、発音に障害があるものですので吃音とはそんなに関係ないです。

前頭葉下部ー難しいこと書いてますが、Broca野のことです。Broca野は前頭葉の下の方に位置している、ということですね。今後も出てきます。

 

全体を簡単にまとめると、発音する音を作るときにはBroca野が活動している、ということです。そしてその音が、名詞など意味のある言葉の時にはBroca野を中心により広い範囲が活動する、といった感じでしょうか。

 

2)島皮質が構音企画に関与し、発語を伴わない内言的な構音過程には、補足運動野や運動前野が関与する可能性があります。

 

 島皮質も前回お話ししましたが、発音の生成に関与しているようです。

補足運動野ー前頭葉にある領域で様々な機能がありますが、主には運動の計画に関わります。この場合は、口を動かすための計画をしているんでしょうか?

前頭前野ーこちらも前頭葉にある領域です。運動の実行に関わります。

 

3)自己発語の確認には、左右聴覚野を含む側頭葉上部が関与します。

聴覚に関わる脳領域は側頭葉(脳の横部分)にあります。

まあ、自分が何喋ったかを、自分で聞いてエラーなど起こっていないかを確認しているというイメージでよいと思います。

 

他にも発語の際には、小脳という部位や大脳基底核という部位が活動しているという記述もありましたが、何せ表現が曖昧だったので、実際はよくわかっていないのが現状ではないかと思います。いやまぁ、2003年の情報なのでね・・・。もっと新しい文書では解決されていることかもしれませんので、追々まとめることにします。

 まとめ

発語に関する基本知識はこんなものでよいかと思います。

とにかく、「半球の違い」「発語運動に関与する脳の領域(前頭葉まわり)」が発語に関与しているぞ!という知識があれば、今後の話も分かりやすくなるのではないかと思います。

 

ここまでは一応助走のつもりで書いています。難しいかもしれませんが笑

次回からは、いよいよ吃音時の脳活動についてまとめていきます。

 

以下の論文を参考にしています。

*1

*1:発話中枢機構と吃音のメカニズム 今泉 敏 音声言語医学44;111-118,2003